末梢性顔面神経麻痺(ハント症候群やベル麻痺)は突然片方の顔が動かなくなるという病気で、ウイルスの回帰感染が原因と言われており早期の治療が必要になります。
治療したにも関わらず発症6カ月以降に麻痺側の「顔のこわばり」「まぶたのけいれん」「まばたきと一緒に口が動く・しゃべっている時に目がウインクしてしまう」などの顔の異常な動き(病的共同運動)が後遺症として生じることがあります。
発症から1年以上経過したにも関わらず後遺症が残った「陳旧性顔面神経麻痺」に対して行う治療の一つがボトックス治療です。
ボトックスは、ボツリヌス菌の作り出すA型ボツリヌス毒素(天然のタンパク質)を有効成分とする薬剤です。ボツリヌス菌そのものを注射するわけではありませんので感染のリスクはありません。
ボトックスを過緊張している筋肉に直接少量注射するとその筋肉の緊張が取れて弛緩します。痙攣や拘縮の原因となる表情筋に注射することで、筋肉の過緊張を抑え、表情筋の過度の緊張を緩和して表情が自然に見えるようにします。